ナショナル・プライバシー・テスト2026 日本のサイバーセキュリティ意識は世界で何位?

NordVPNが毎年実施しているナショナル・プライバシー・テストが今年も実施されました。2026年は、世界各国のオンラインユーザー2万人以上が、オンラインプライバシーやサイバーセキュリティに関する24問の質問に回答しました。では、日本の結果はどうだったのでしょうか?2026年のナショナル・プライバシー・テストにおける日本の順位や特徴を詳しく見ていきましょう。

ベンチに座りながら、スマートフォンでナショナル・プライバシー・テストの結果を確認する女性。

ナショナル・プライバシー・テストとは?

ナショナル・プライバシー・テストは、オンラインユーザーがプライバシーやサイバーセキュリティに関するリスクをどの程度理解しているかを測定する、NordVPNの取り組みです。2020年に開始され、誰でもオンラインで参加できます。

2026年版では、AIに関連するプライバシーリスクやディープフェイク、新たなフィジカル・サイバーセキュリティの脅威など、現在のデジタル環境を反映した質問が追加・変更されています。これには、QRコードを利用した詐欺や、USB充電ステーションを介したリスクなども含まれます。

そのため、2026年の結果を過去のナショナル・プライバシー・テストと単純に比較することはできません。今年は、参加国間での比較と、世界平均を基準とした比較を中心に結果を分析しています。

調査方法

2026年のナショナル・プライバシー・テストは、24問の質問から構成され、以下の3つのカテゴリーに分けられています。

  • 日常のデジタル生活。アプリの権限管理、ソフトウェアのアップデート、公衆Wi-Fiの安全な利用など、日常的なデジタル生活においてユーザーがどの程度安全な行動を取れるかを測定します。
  • プライバシーへの理解。パスワード、データトラッキング、マルウェアインフォスティーラーなど、企業やプラットフォームによって個人データがどのように収集・保存・利用されるのかについての理解を評価します。
  • デジタルリスク。ディープフェイクの見分け方、不審なメールへの対応、ブラウザーへの決済情報の保存、AIツールに共有すべきではない情報など、具体的なリスクへの対応力を測定します。

テストのスコアは0~100点で、点数が高いほどオンラインプライバシーやサイバーセキュリティに関する知識・理解度が高いことを示します。なお、これは誰でも参加できるオンラインテストであり、年齢、性別、その他の属性について人口統計上の割り当てを設けていません。そのため、調査結果は各国の一般人口を代表する統計ではなく、オンラインプライバシーに関心を持ってテストに参加した人々の傾向として読む必要があります。

2026年の世界の結果は?

2026年の世界平均スコアは46点でした。つまり、参加者は平均するとナショナル・プライバシー・テストの約半分の質問に正しく答えられていないことになります。

3つのカテゴリーでは、世界平均は「日常のデジタル生活」が30点、「プライバシーへの理解」が51点、「デジタルリスク」が53点でした。

この結果から見えてくるのは、プライバシーやサイバーセキュリティについて「知っている」ことと、それを日々の行動に反映することとの間に大きな差があるということです。

特に目立ったのが、パスワードに関する知識のギャップです。96%の参加者は強いパスワードの作り方を理解していましたが、安全な保管方法を理解していた人は18%にとどまりました。

AIについても同様の傾向が見られます。91%はソーシャルメディアへの投稿がAIモデルのトレーニングに利用される可能性を理解している一方、AIツールに共有すべきではない情報を理解していたのは57%、職場におけるAIのプライバシー問題を理解していたのはわずか5%でした。

日本のナショナル・プライバシー・テストの結果は?

日本の2026年ナショナル・プライバシー・テストスコアは41点で、世界9位となりました。世界平均の46点と比較すると、日本は5ポイント下回っています。一方、2025年の日本の順位は14位だったため、2026年は順位としては上昇しました。ただし、今年のナショナル・プライバシー・テストは質問内容が変更されているため、2025年と2026年のスコアを単純に比較して、日本のプライバシー意識がどの程度向上・低下したかを判断することはできません。順位についても、今年の参加国・設問構成を前提として見る必要があります。


日本の結果で特に興味深いのは、全体のスコアだけでは捉えにくい「得意分野と苦手分野の差」です。日本は、AIツールに共有してはいけない情報について理解する能力が世界で最も高い国となりました。これは、AIを利用する際にどのような情報を入力すべきではないかという、AI特有のデータ共有リスクに対する日本の理解が非常に高いことを示しています。AIの急速な普及が進む中で、生成AIに個人情報や機密情報を入力することへの注意が求められています。日本の参加者は、この比較的新しいプライバシーリスクについて、世界的に見ても高いレベルの理解を示しました。

一方、日本には意外な弱点もあります。たとえば、ソーシャルメディアへの投稿がAIモデルのトレーニングに利用される可能性についての理解は、世界的に見て低い水準でした。これは、一見すると矛盾しているように見えます。AIツールに共有すべきではない情報については非常によく理解している一方で、自分がソーシャルメディアに投稿した情報がAIの学習に利用される可能性については、十分に認識されていないからです。つまり、日本では「AIに何を入力してはいけないか」という直接的なリスクへの理解は高いものの、「オンライン上ですでに公開している情報がAIによってどのように利用されるか」という、より広いデータ利用の問題には認識のギャップがあります。

ブラウザーに保存するクレジットカード情報にも注意

日本のもう一つの弱点は、ブラウザーにクレジットカード情報を保存することに伴うリスクへの理解です。日常的なオンラインショッピングでは、決済情報を保存しておくことで入力の手間を減らせます。しかし、利便性の一方で、ブラウザーやアカウントが侵害された場合に決済情報が悪用される可能性もあります。日本の参加者は、このリスクについて世界的に見ても低い水準の理解を示しました。これは、日本のナショナル・プライバシー・テスト結果全体に見られる特徴とも一致しています。日本では、AIのような新しいデジタル領域について非常に高いレベルの知識を持つ一方、ブラウザーやパスワードなど、日常的に使うサービスに潜む基本的なリスクについては意外な盲点が残っています。

パスワードに関する知識にもギャップ

パスワードの作成について、日本のスコアは依然として高い水準にあるものの、今回のデータセットでは世界の中で比較的低い位置にありました。強力なパスワードを作ること自体は、オンラインアカウントを守るための基本的な対策です。しかし、強いパスワードを作れることと、それを安全に管理できることは同じではありません。2026年の世界全体の結果でも、パスワードの「作成」と「保存」の間には大きな知識差がありました。日本の結果も、こうした日常的なセキュリティ習慣について、改めて考える必要があることを示しています。

日本のナショナル・プライバシー・テスト結果から見える特徴

2026年の日本の結果をまとめると、「デジタル技術への理解は高いが、プライバシーに関する知識が特定の領域に集中している」という特徴が浮かび上がります。特にAIに関しては、日本は世界でも際立った結果を示しました。AIツールに共有してはいけない情報についての理解は世界トップレベルです。一方で、ソーシャルメディア上の投稿とAIトレーニングの関係、ブラウザーに保存したクレジットカード情報のリスクなど、従来型のデジタルプライバシーに関する一部の項目では弱さが見られました。この組み合わせは、日本のナショナル・プライバシー・テスト結果を特徴づける重要なポイントです。日本のようにデジタル技術が広く普及している社会では、最新のテクノロジーについて知識を持つだけでなく、日々のオンライン行動の一つひとつがどのように個人情報やセキュリティに影響するのかを理解することも重要です。

日本と似ている国、異なる国

2026年のナショナル・プライバシー・テストデータでは、日本に最も近い国として韓国が挙げられています。両国は、世界の他の国々とは異なる、比較的特徴的なプロファイルを共有しています。特に、デジタル技術への高い適応と、プライバシーに関する特定領域での強い理解が共通しています。日本に次いで特徴が近い国としては、スペインやアルゼンチンも比較的遠い類似例として挙げられます。一方、日本と最も異なるプロファイルを持つ国は、シンガポール、ポーランド、リトアニアでした。こうした国ごとの違いは、単純に「どの国がデジタルセキュリティに詳しいか」だけでは説明できません。それぞれの国で、得意な分野と弱い分野が異なるためです。

世界のサイバーセキュリティ意識から見えること

2026年のナショナル・プライバシー・テスト全体を見ると、オンラインプライバシーについて「知識がない」というよりも、知識を日常生活で実践することに課題があるという傾向が見られます。ディープフェイク、マルウェア、銀行詐欺など、ニュースで取り上げられることの多い脅威については比較的高い認識が示されています。その一方で、安全なパスワード管理、ソフトウェアのアップデート、QRコードのリスク、ブラウザーに保存された決済情報など、日常生活に潜むリスクについては、知識にギャップがあります。日本の場合、その傾向はさらに特徴的です。AIツールへの情報共有については世界トップレベルの理解を示す一方、AIによるソーシャルメディアデータの利用や、従来型のデジタルプライバシーについては弱い部分があります。この結果は、サイバーセキュリティについて一度にすべてを理解するのではなく、新しい脅威と、毎日のデジタル習慣の両方について継続的に知識をアップデートすることの重要性を示しています。

2026年ナショナル・プライバシー・テストは何を意味する?

日本の2026年ナショナル・プライバシー・テストのスコアは41点で、世界9位でした。ただし、順位だけを見ることが、日本のオンラインプライバシーやサイバーセキュリティへの理解を評価する唯一の方法ではありません。今回の結果で特に注目すべきなのは、日本がAIツールに共有してはいけない情報について世界トップレベルの理解を示した一方、ソーシャルメディアとAIトレーニングの関係や、ブラウザーに保存したクレジットカード情報のリスクなど、一部の日常的なプライバシー問題では弱さを示したことです。2026年のナショナル・プライバシー・テストは、サイバーセキュリティにおいて「最新の脅威を知っていること」と「日常的な習慣を安全に保つこと」が必ずしも同じではないことを示しています。自分なら何点取れると思いますか?ナショナル・プライバシー・テストに挑戦 opens in a new tabして、自分のオンラインプライバシーとサイバーセキュリティに関する知識を確認してみましょう。

この調査の詳細な研究資料はこちら opens in a new tabからご覧いただけます。

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Chihiro Sato | NordVPN

Chihiro Sato

デジタルセキュリティに関心が高く、読者がオンラインで安全を守るための情報提供を行うライターです。プライバシー保護やインターネットの安全性に関する実用的なアドバイスを中心に執筆し、ユーザーがデジタルライフを守る手助けをしています。執筆の合間には、最新のテクノロジートレンドや新しい技術をチェックしています。