デジタルフットプリントとは？リスクや対策を詳しく解説

デジタルフットプリントとは、インターネットを利用した際にオンライン上に残るさまざまな記録の痕跡のことを指します。具体的には、検索サイトでの検索履歴などを含むインターネット上での閲覧履歴をはじめ、SNSでの投稿、オンラインショッピングの際に利用したクレジットカードなどの支払い情報、位置情報、チャットやメールのやりとりなど、あらゆるものが含まれます。これらはデジタル社会が発達していくにつれて増え続けています。

また、デジタルフットプリントは主に大きく分けて能動的デジタルフットプリントと受動的デジタルフットプリントの2つに分類され、詳細は以下の通りです。

能動的デジタルフットプリント

能動的デジタルフットプリントは、SNSでの投稿やオンラインイベントへの参加を通じて、ユーザーが意図的に自分自身に関する情報を共有した場合のデータを指します。この他にも、ニュースレターの購読やブラウザ上でクッキーを受け入れることに同意する場合も含まれます。

受動的デジタルフットプリント

これはユーザーが気づかないうちに個人情報が収集されている場合に作成されるものです。たとえば、ウェブサイトがユーザーに知られることなく、ユーザーの訪問回数や訪問元、IPアドレスなどの情報を収集する場合などです。この他にもSNSや広告主が、ユーザーが押した「いいね！」やシェア、コメントを利用してユーザーをプロファイリングする場合もあります。

ここからは、デジタルフットプリントの仕組みについて解説します。

デジタルフットプリントは、自分個人のネットワークではなく、より広域のインターネット上でデータを送信する際に始まります。インターネット上でウェブサイトへアクセスしたり、メッセージを送信する場合、そのデータは必ずどこかのサーバーを経由します。その際に経由するサーバーの所有者は皆、どの情報を追跡・保存して、誰と共有するかを決めることができます。

たとえばSNSの場合、ログインページにアクセスし、IDとパスワードなどの認証情報を入力し、個人アカウントにアクセスしますが、この一つ一つがデジタルフットプリントといえます。

デジタルフットプリントはどれも個人を追跡可能なものが多く、オンライン上に残しておくと様々なサイバー犯罪に巻き込まれる危険性があります。たとえば、ウェブサイトがお使いのデバイスにサードパーティクッキーを設定することでWebトラッキングできるようになったり、自分が知らないうちにアプリが個人データにアクセスする場合もあります。

最近では、スマートフォンやパソコンなど複数のデバイスにまたがってユーザーを追跡するクロスデバイストラッキングと呼ばれるマーケティング手法が頻繁に使用されています。このようにデバイス上のアプリやウェブサイトを通して一度、特定の企業や組織に自分の情報へのアクセスを許可してしまうと、組織が個人情報を第三者に販売したり、最悪の場合は漏えいしてしまう可能性もあります。

ここでは、デジタルフットプリントには具体的にどのような情報が含まれているのかを以下にまとめました。

• 名前や住所などの個人情報
• お使いのデバイス内の写真や連絡先情報
• 各ログイン情報
• オンラインバンキング情報
• インターネット上での閲覧履歴、検索履歴
• 位置情報
• オンライン上でのメールやチャットのやりとり
• SNSでの投稿やコメント、いいね、閲覧履歴
• YouTubeなど動画配信サービスでの視聴履歴
• ウェブサイトを訪問した日時
• 各ページの滞在時間
• マウスの動きや速度、方向
• 使用しているOSとブラウザ

このようにインターネットを利用する裏で、オンライン上では多くの情報が残っています。一見、あまり意味のないような小さなデータでも集めていくと、驚くほど正確な個人像を形成できる可能性があります。もし、これらの個人情報が盗まれたらどうなるかは容易に想像できるでしょう。

ここではデジタルフットプリントのメリットについて紹介します。デジタルフットプリントは、これまで述べてきたようにサイバー犯罪のターゲットにされがちなように感じますが、何も悪い事ばかりではありません。

たとえば、デジタルフットプリントをうまく活用することでオンライン上で同じ趣味思考を持つ個人やグループと繋がることができます。SNSで自分に関する情報を投稿することで自分個人のブランドを強化でき、これによって人との出会いや就職する機会などのチャンスを得ることができます。また、自分のオンライン検索や閲覧履歴をもとに、自分が関心のあるコンテンツや広告が表示されるようにカスタマイズされるという点もあります。

そして、自分達のデジタルフットプリントに加え、攻撃してくるサイバー犯罪者のデジタルフットプリントを継続的に監視したり、管理することがセキュリティ面の保護に繋がり、リスクを最小限に抑えることができます。これは、自分自身がオンライン上でどのような個人情報を残しているのか、そしてサイバー犯罪者達はそれらの情報を利用して何ができるのかを理解するなど、デジタルフットプリントに関する知識を習得することで実現できるでしょう。

デジタルフットプリントは、オンライン上での自分の評判や交友関係だけにとどまらず、オフラインでの人間関係や安全性にまで影響を及ぼす可能性があります。ここではデジタルフットプリントのリスクに関して紹介します。

プライバシーの問題

デジタルフットプリントをしっかり管理できていないと、個人情報が漏えいしたり、盗難の被害に遭う可能性があります。

オンライン上での評判

オンライン上では不特定多数の人が見ているので、特にネガティブな投稿やコメントなどは、ネットいじめや嫌がらせ、ネットストーカーに繋がる可能性があり、相手に精神的苦痛を与えるだけでなく、自分自身の人生にも悪影響を及ぼしてしまいかねません。

亡くなった後もデータが残る

SNSサービスを提供する企業の多くは、たとえユーザーが亡くなった場合でも自発的にデータを削除することはありません。サイバー犯罪者達は、それらの情報を使って犯罪行為を企ててくる可能性があります。家族や交友関係にまで被害が及ばないようにするためにも、SNS公開する情報に関しては事前に制限しておくことが重要です。

以下では、デジタルフットプリントの事例をいくつか紹介します。

SNSのプロフィール

Facebook、Instagram、Twitter(X)など、多くの人々が日常的にSNSを利用しているソーシャルメディア企業は、たとえユーザーがプロフィールを非公開にして個人情報を投稿していない場合でもユーザーやその友人に関するデータを収集することができます。

インターネットの閲覧履歴

ブラウザはページを移動するたびにユーザーに関するさまざまな情報を保存します。また、Googleなどの検索会社は、ユーザーがインターネット検索を行なった検索履歴を収集し、追跡することができます。

電子メール

送受信するあらゆるメールは、プラットフォームのサーバーを経由してデータベースに送信され、メールの内容やメールアドレス、添付ファイルが記録される可能性があるので、たとえ送信後にメッセージを削除しても、実際に消えている保証はありません。

インターネットショッピング

オンライン上で何かを購入する際に、入先の企業や組織に購入データ、クレジットカード番号などの銀行情報、配送先住所などを含む個人情報を提供するたびにデジタルフットプリントは大きくなるでしょう。

オンラインフォーラム

オンライン上でのディスカッションやイベントに参加した際に個人的な意見や自身の経験を共有するコメントや投稿がデジタルフットプリントとして残り、それらを辿られて悪用される可能性があります。

インターネットバンキング

インターネット上で銀行口座を開設すると、請求書の支払いや残高、振り込み履歴などのデジタルフットプリントが残ります。

オンラインゲーム

オンラインゲーム中のチャット、スコア、その他のアクティビティは、デジタルフットプリントとして残ります。

いくらデジタルフットプリントを残さないようにする努力をしたとしても、インターネット上のサービスやアプリを利用している限りは、ほぼ不可能といえます。これらを避けようとするよりも、デジタルフットプリントに関するリスクを学んで理解し、コントロールするほうが良いでしょう。こちらでは、安全性を保つためにデジタルフットプリントを管理する方法をいくつか紹介します。

SNSのプライバシー設定を調整する

ブラウザや閲覧するサイトの設定の仕組みを理解することは重要です。リスクを最小限に抑えるためにもSNSのプライバシー設定を調整したり、ブラウザのクッキーを管理し、消去するようにしましょう。

共有する内容に注意する

SNSなどで投稿する内容は自分自身でルールを設けて、外部に個人情報が知られてしまう可能性のある投稿は避けるようにしましょう。

オンライン上での情報は常に最新の状態に

もし、オンライン上で自分に関する情報が古かったり、間違っていた場合は、その旨を掲載しているサイトに連絡しましょう。必ずしも対応してくれるとは限りませんが、該当するデータを変更または削除してくれる場合もあります。

古いSNSのアカウントを削除する

たとえ、もう使用していないSNSのアカウントでも、サイバー犯罪者たちにとっては犯罪を行なうための重要な情報が含まれている可能性があります。したがって、古いアカウントは全て削除するようにしましょう。

VPNを使用してトラフィックを暗号化する

自分のデータを管理する際に最も有効的なのは、企業が最初に取得する情報量を制限することです。VPNを使用すると、ユーザーのオンライン上のトラフィックを暗号化するだけでなく、VPNプロバイダーが保持しているサーバーを利用することで本来のIPアドレスを隠すことができます。

VPNプロバイダーのなかでも、優れたサービスを提供しているNordVPNの場合、ISPが個人データを広告主へ販売することを阻止できるだけでなく、個人情報の履歴を保持できる企業の数を制限するなど、結果的にデジタルフットプリントを減らすことができます。また、NordVPNには、マルウェアに感染した経路を特定し、侵入型広告やトラッカーをブロックするのに役立つ脅威対策機能も搭載しています。

ダークウェブ上でデータが流出してないか監視する

ダークウェブではさまざまな情報が売買されています。NordVPNが提供しているダークウェブモニタリング機能は、ダークウェブ上でユーザーの個人データが流出していないかを定期的に監視することができます。

日々の生活の中でインターネットを使用している限り、インターネット上から自分の情報を消すことはできません。しかし、自分のデータを保有している企業に削除を求めることはできます。その際、手続きには時間がかかったり、なかなかうまくいかなくてストレスが溜まってしまう場合がありますが、Incogniのようなサービスを利用することで個人情報がデータブローカーに渡らないようにすることができます。

さらに自分のデジタルフットプリントを削除するために重要なのは、見つける方法を知らなければならないということです。Googleはいくつかの情報をインデックス化しますが、検索エンジンに表示されないユーザーの名前や住所、電話番号のデータベースも存在します。

これから先、インターネットを利用している誰もが自分自身のデジタルフットプリントを管理しなくてはならない時代が来るかもしれません。サイバー犯罪の被害に遭わないためにも今回紹介したフットプリントに関するリスクをしっかりと理解し、自分自身で管理できるようにしましょう。