Signal(シグナル)アプリのメリットと危険性について解説
Signal(シグナル)アプリは、4000万人以上のユーザーを持つ、人気メッセージングアプリのひとつです。ジャーナリスト、活動家、サイバーセキュリティの専門家、プライバシーを重視する人たちが好んで利用しています。しかし、Signalは本当に安全なのでしょうか?また、どのようにあなたの情報を保護しているのでしょうか?この記事では、Signalアプリのメリット・デメリットや危険性、Signalアプリの活用方法について説明します。
目次
Signal(シグナル)アプリとは?
Signal(シグナル)とは、アメリカのSignal FoundationというNPOが運営しているオープンソースのメッセンジャーアプリで、2014年7月にリリースされました。ユーザーは複数のデバイスで、直接またはグループメッセージで、写真やテキスト、音声を送信することができます。
類似のアプリと比較して、Signalが提供する主なメリットは、セキュリティとプライバシーに重点を置いていることです。Signalは、電子フロンティア財団が定める7つの評価項目に基づいて選定された「最も安全なメッセンジャーリスト」において最高評価を得ており、多くのセキュリティ専門家から「最も安全なメッセンジャーアプリのひとつ」として支持されています。
次の章では、Signalの強力なセキュリティ機能のいくつかを紹介します。
Signal(シグナル)でできること
Signalは、WhatsAppやLINEの代わりに使われる安全なメッセージングアプリですが、主に以下の機能が利用できます。
- チャット、グループチャット
- 画像の送受信
- 通話、ビデオ通話、グループ通話
- ボイスメッセージ
- スタンプやGIFの送受信
- メッセージのバックアップ、履歴の削除
- Windows、macOS、Linux、Android、iOS(iPhone、iPad)デバイスと互換性がある
Signalアプリを使うメリット
Signalには多くのメリットがあります。以下にいくつか例を紹介します。
- 強力なプライバシー保護:Signalは、エンドツーエンドの暗号化によって通信内容を保護し、ユーザーのプライバシーを最優先に考えています。この暗号化により、中間者攻撃を防ぐことができます。
- オープンソース:Signalはオープンソースソフトウェアであり、誰でもソースコードを確認し、自由に改良することができます。これにより、セキュリティ上の問題が発見され、修正される可能性が高くなります。
- 広告やトラッキングの危険性なし:Signalは、ユーザーの通信内容を収集することはなく、個人情報の収集、広告の表示、トラッキングなどのビジネスモデルを有していません。また、Signalは非営利団体によって運営されており、利益を得ることを目的としていません。
- 多くのプラットフォームで利用可能:Signalは、iOS、Android、Windows、Macなど、多くのプラットフォームで利用可能です。これにより、ユーザーは、好みのデバイスでSignalを使用することができます。
- アプリの利用は無料:Signalを使用するためには、インターネット接続が必要ですが、利用料金は無料です。これにより、ユーザーは、国内外を問わず、安価に友人や家族と連絡を取ることができます。
Signalにはセキュリティに特化した多種多様なアプリ内機能があります。
- 消えるメッセージ:設定した時間が経過すると、自分と相手の両方のデバイスからメッセージが消えるように設定できます。
- 画面ロック機能:Signalには、画面ロック機能があります。この機能により、誰かがユーザーのデバイスにアクセスした場合でも、Signal内のメッセージを読むことができなくなります。
- 画面セキュリティ機能:画面セキュリティは、最近使ったアプリのリストにSignalのプレビューが表示されないようにする機能です。
- 電話の暗号化:Signalは、音声通話やビデオ通話にもエンドツーエンドの暗号化を適用しています。これにより、通話内容が盗聴されることを防止し、通話のプライバシーを保護します。
- 使い捨てメディアファイル:Signalには、送信した写真や動画などのメディアファイルを相手が閲覧すると自動的に消える機能があります。
- 自分用メモ:Signalでは、メモを送る相手の電話番号を自分で入力することで、「自分用メモ」を作成することができます。自分だけが見ることができるチャットルームで、ちょっとしたメモをとって後で見直したり、リンクしている他のデバイスにメッセージやファイルを送ったりするのに使えます。
Signalアプリのデメリット
ここからは、Signalを利用する前に検討すべきデメリットをいくつか紹介します。
- 両者ともSignalアプリが必要:エンドツーエンドの暗号化は、両方のユーザーがSignalを持っている場合にのみ機能します。相手がSignalを使用しているかどうかにかかわらず、連絡先リストの誰とでもSignalアプリを使って連絡を取ることができますが、最大限のセキュリティを享受するためには相手がSignalを使用している必要があります。
- 日本ではほとんど使われていない:日本でのメッセージングアプリはLINEが主流ですが、Signalアプリのユーザーは日本ではまだ少ないのが現状です。
- 申し込みに電話番号が必要:Signalでは連絡先の検索を可能にし、ユーザーが本物であることを確認するために、電話番号の入力を要求しています。電話番号を持っていない場合は、アカウントの登録をすることができません。
- 電話番号が相手に公開される:Signalでメッセージを送信したり通話したりすると、相手に自分の電話番号を知られてしまいます。また、相手の連絡先にあなたの電話番号が登録されている場合は、Signalに連絡先へのアクセスを許可していなくても、通知される可能性があります。
- エンドツーエンドの制限:エンドツーエンドの暗号化により、プロバイダーでさえ会話の内容を見ることができないため、テロや児童虐待などの犯罪に悪用されても、誰も把握できないというデメリットがあります。
- 暗号化による締め出し:あなたと相手以外のユーザーは、エンドツーエンドで暗号化された会話にアクセスすることはできません。もし、あなたともう一人のユーザーの両方が会話にアクセスできなくなったら、Signalアプリでやり取りされていた会話は永遠に失われるかもしれません。その場合、Signalで復元することはできません。
- 機能が少ない:Signalはセキュリティとプライバシーに重点を置いているため、他のメッセージングアプリケーションが提供する便利な機能が欠けている場合があります。
- データの移行は手動:Signalは、スマートフォンなどの端末にデータを残す仕様のため、スマホの機種変更や買い替え時には、手動でデータを移行する必要があります。そのため、手間と時間がかかったり、大切なデータを紛失したりする危険性があります。
Signalアプリの危険性
Signalアプリは、前述のとおり、最も安全なメッセージングアプリのひとつと考えられていて、エンドツーエンドの暗号化によって、インターネットを介して送受信されるデータが傍受されたり、サーバーに保存されているデータが盗まれたりする心配がありません。したがって、通常の使用では、セキュリティ上の問題はほとんどありません。
さらに、SignalはNPOの「Signal Foundation」によって運営されているオープンソースアプリで、エンドツーエンドの暗号化以外にも、サードパーティによって独自に監査されたシグナルプロトコルを備えています。さらに、Signalにはユーザーのアカウントとデバイスを識別するためのサインセキュリティナンバーが割り当てられるため、ユーザーのアカウントとデバイスが正しくペアリングされ、通信相手が本当にその人であることを確認することができます。
Signalのリスクをあげるとすると、情報の秘匿性の高さのせいで、怪しいチャットグループや知らないチャットグループに参加すると、思わぬ事態に巻き込まれる可能性があります。また、Signalには位置情報を共有するオプションがあり、注意せずにその機能を使用すると、いくつかのリスクを引き起こす可能性があります。
位置情報機能を無効にすることで追跡を回避する方法もありますが、VPN接続を利用してIPアドレスを変更することで、本当の居場所を隠すことができます。VPNは、より高いセキュリティとプライバシーを求めるユーザーにとって最良の選択肢です。
Signalアプリを使うべきユーザー
Signalアプリは、セキュリティとプライバシーを重視する人に最適な選択肢です。以下のユーザーは、Signalの利用を今すぐ検討すべきです。
- ジャーナリスト:Signalアプリを使用することでジャーナリストをサイバー攻撃のターゲットにすることが難しくなるため、情報源を秘密にできます。
- 活動家:抑圧的な国では、活動家(アクティビスト)は政府によって監視されることがあります。Signalは、このようなグループに対して、安全なコミュニケーションと組織作りのための方法を提供します。
安全な通信を必要とするあらゆる業務に携わる人は、Signalを利用することで恩恵を受けることができます。Signalは、サイバーセキュリティの脆弱性とデータのフットプリントの両方を大幅に削減することができます。
人気のあるメッセージングアプリのほとんどは、ユーザーのデータを収集することを主なビジネスモデルとする企業によって提供されています。シグナルアプリ内のプライベートメッセージは、広告のターゲティング情報になったり、侵害や脆弱性が発生した場合に流出したりする可能性があります。多くのユーザーは、自分のデータをコントロールするために、よりプライバシーを重視したメッセージングアプリに移行しています。