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生体認証とは何か?安全性について解説

近未来的なアイスキャナーや音声で反応するドアは、もはやハリウッドのスパイ映画の世界だけのものではなくなっています。技術革新が進んだことで、顔や指紋でデバイスのロックを解除できるようになり、生体認証技術は新しい常識となりました。生体認証技術は、スマートフォンや厳重なセキュリティが求められる場面で利用されることが多いですが、結局のところ安全で信頼できるものなのでしょうか?この記事では、「生体認証とは何か?」「生体認証にはどのような技術が使われているのか?」「生体認証は何に使うものなのか?」「生体認証のメリットとデメリットは?」という問いに答えていきます。

生体認証とは何か?安全性について解説

生体認証とは?

生体認証とは、指紋や声、手のひらなど、その人特有の身体的特徴に準ずる要素を使って個人を特定する仕組みで、「バイオメトリクス認証」と言われることもあります。

生体認証で利用するデータは「生体情報」と呼ばれており、認証に適した生体情報は、「すべての人が持っている特徴」「同じ特徴を持つ人がいない」「時間の経過とともに特徴が変化しない」などの条件を満たしている必要があります。

指紋や顔の特徴、声の特徴など、広く知られているものを含めると、20種類以上もの生体認証の種類があります。これらについては、後ほど詳しくご紹介します。

生体認証の仕組み

前述のとおり、生体認証技術は個人を認証するために使用されます。すでに多くの個人用デバイスに搭載されている機能ですが、制限の多い場面でのセキュリティ強化のためにも採用されています。特に政府や企業は、物理的またはデジタル的な場所の両方を保護するために、生体認証に注目しています。

種類に関係なく、すべての生体認証システムには、以下の3つの重要な要素が含まれています。

  • 生体情報を取得するセンサー
  • 元のデータを保存するストレージデバイス
  • 2つのデータを比較するためのソフトウェア

生体認証のプロセスは非常にシンプルです。指紋センサーを搭載したスマートフォンを例にとって説明しましょう。

  1. 個人を特定するための指紋を事前に登録します。デバイスはこのデータを将来使用するために保存します。
  2. 内蔵スキャナで指の指紋をスキャンした後、システムがあなたの指紋とデータベースに登録されている指紋を比較します。
  3. それらが一致した場合、携帯電話のロックを解除することができます。

生体認証の種類

生体認証では、指紋、顔、静脈などがよく使われますが、その他にもさまざまな種類の生体認証が存在します。

以下に、一般的な生体認証の一覧と、それぞれのどのようなケースで使われるのかを紹介します。

指紋認証

指紋認証とは、指紋センサーが指紋を検出して個人を認証する仕組みです。指紋は、最も認知度が高く、一般的な生体情報のひとつです。ほとんどのケースでは、デバイス内蔵のスキャナーが指紋をスキャンしますが、カメラが指紋スキャナーの役割を果たす機器もあります。

音声認証

近年、家庭内のスマートデバイスは急速に普及しています。AmazonのAlexa(アレクサ)やGoogle Homeなどのスマートスピーカーは、コマンドを理解し、会話のパターンに従うことができるようになりつつあります。

また、スマートスピーカーは、本人だけでなく、周囲の人たちのことも学習します。スマートスピーカーに搭載されている音声認証技術を使って、声に含まれる固有の音波を分析することで、話し手を特定することが可能です。

顔認証

顔認証ソフトウェアが登場した初期の頃は、ユーザーの画像をデバイスに保存し、誰かがアクセスしようとするたびに新しい写真と比較する必要がありました。

現在、この技術は改良されており、ユーザーの顔のユニークなパターンをスキャンし、メイクや髪型が変わったり、マスクを着用したりしていても、認識できるようになっています。

虹彩認証

虹彩認証とは、人間の目の虹彩を利用して本人認証を行う仕組みです。顔認証ほど主流ではありませんが、虹彩認証はより安全であると考えられていて、政府機関や企業の研究所など、アクセスが制限される場面で普及しつつあります。

掌形認証

掌形認証は、手の持ち主を特定するために、それぞれの手の身体的特徴を利用します。手のひらの厚み、肌の色、手のひらと指の間の距離などで識別します。

生体認証のメリット

以下に、生体認証のメリットを紹介します。

  • pros
    利便性の高さ。生体認証を使うことにより、パスワードを入力する必要がなくなるため、パスワード紛失時に再発行したり、アカウントによって異なるパスワードを設定したりする手間が省けます。企業で導入する場合は、IDカードを持ち歩く手間が省け、外出先でのカードの盗難・紛失のリスクも軽減されるというメリットがあります。
  • pros
    安全性・プライバシー性。生体認証は身体的特徴で個人を特定するため、スマホの乗っ取りや、なりすましのリスクが低くなります。ID・パスワードを使った認証だと不正アクセスのリスクを高めますが、生体情報はコピーが困難なため、便利で安全なケースが多いです。
  • pros
    業務の効率化。生体認証により本人確認が効率的に行えるため、多数の人が出入りする企業や施設では、時間短縮や混雑緩和に繋がります。特に、顔認証は一人当たりの認証時間を大幅に短縮することができるため、認証担当者の数を最小限に抑えられ、人件費も削減できます。

生体認証のデメリット

とても便利な生体認証ですが、問題点も少なからず存在します。以下に生体認証の課題を紹介します。

  • cons
    データが悪用されても生体情報を手軽に変更できない。上記のメリットで、「生体情報はコピーが困難」と紹介しましたが、変更することが困難だからこそ、生体情報が盗まれた場合、迅速な対応ができないという課題があります。IDやパスワードでの認証の場合、漏えいや悪用が発覚したらすぐに対応できますが、生体情報は手軽に変更ができません。
  • cons
    高度なセキュリティ対策が必要。機密情報や個人情報を盗まれることを何としてでも防ぎたい企業や施設では、生体情報の悪用リスクを回避するために、より高度なセキュリティ対策を講じる必要があります。従って、専門知識を要する人員の確保や、iPhoneとAndroid向けのセキュリティソフトの導入も必要になってくるでしょう。
  • cons
    身体的な変化に対応できない。生体認証関連の技術が発達して、メイクや髪型が変わっても認証が可能になったと言えど、加齢や怪我、美容整形などによって外見が大きく変わると、認証の精度が下がってしまいます。なお、指紋認証は、指に傷がつくと不正確になる可能性があります。

生体情報が不正に利用された事例

生体情報の利用が広まることを懸念する理由は他にもたくさんあります。以下に、実際に生体情報が不正に利用されたケースを紹介します。
  • 米ベンチャーの例。米AIベンチャーのClearview AIは、インターネットやSNSから顔の画像を自動収集し、大学、警察、スーパーマーケットなど2,200以上の組織に約30億枚の写真が格納されているデータベースを使用させています。さらに、サーバーの設定ミスにより、そのデータが誰でも見られる状態になっていました。
  • アメリカでの例。2020年にアメリカで、顔認識システムのアルゴリズムの不具合により、アフリカ系アメリカ人男性が誤認逮捕された事件がありました。この技術的なミスにより、この男性は実際に刑務所に入っています。
  • オーストラリアでの例。2018年にオーストラリアで起きた事件もあります。同地の警察がサッカーの試合後に犯人を特定しようとしたところ、顔認識技術により、92%の人が誤認識されてしまいました。

生体認証市場の成長

生体認証市場は、スマートフォンの普及により、2028年までに著しい成長を遂げると予測されています。さらに、心電図や脳波などを生体情報として測定できるようになったことで、世界の生体認証市場に大きな成長機会が生まれると期待されています。

一方で、データセキュリティに関する懸念と、生体認証の高額な導入コストが、生体認証市場の成長を妨げる可能性も考えられます。

生体情報を保護する方法

生体認証は、今後もますます普及すると思われます。セキュリティの面ではまだ課題がありますが、必要な知識と常識さえあれば、この技術がもたらすリスクから身を守ることができるかもしれません。

  • 安全なパスワードとともに、多要素認証(MFA)に生体情報を利用する。生体認証とは異なり、パスワードはいつでも変更することができます。推測されにくい強力なパスワードの作成を心がけ、生体情報を利用する場合は、多要素認証の一部として利用するようにしましょう。
  • 再現性の低い認証方式を選択する。指紋や音声は他人が入手しやすい情報なので、高度な技術や知識を持つ第三者であれば、生体情報を再現することができるかもしれません。静脈などの体内情報を生体認証に利用することも、セキュリティレベルを高める方法のひとつです。
  • SNSに指の腹が見える写真を載せない。スマホに搭載されているカメラの精度が高くなっているため、ピースサインなど、指の腹が見える写真をネット上に公開すると、第三者によって指紋を解析されて、それを再現されてしまうリスクがあります。
  • 生体情報のバックアップを取る。認証に使用する生体データが1つだけだと、その部分に変化があった場合、認証ができなくなる可能性があります。そのような事態を避けるために、あらかじめ生体情報を複数登録しておきましょう。