VoIPとは?VoIPの仕組みや特徴、メリットを簡単に解説
VoIPは、インターネットプロトコル(IP)を利用して音声通話をする技術です。近年、VoIPは従来の固定電話回線に変わる技術として、IP電話などさまざまな通信手段として活用されています。今回はこのVoIPの仕組みをはじめ、特徴やメリット・デメリットなどを簡単にわかりやすく説明します。
VoIPとは?
VoIPとは、Voice over Internet Protocolの略で、インターネットプロトコルに則ってインターネット回線を利用して音声データをやりとりする技術のことです。呼び方は、「ヴィオーアイピー」「ボイップ」「ボイプ」などがあります。
元々、VoIPは1990年代後半にパソコンにソフトウェアをインストールすると利用できるインターネット電話として使われていましたが、遅延やエコーなど従来の電話よりも音声の品質が悪いなどの問題を抱えていました。しかし、2000年代に入ると技術の発達によってインターネットの高速化と電話番号の割り当てにより、一般の電話と同じように使用されるようになりました。現在、VoIPは多くの日本人が使用しているLINEをはじめ、SkypeなどLINE以外のアプリでも使用されています。また、企業などでは社内LANを利用した内線電話などにも使用されていたり、コールセンターなどでもよく活用されています。
このようにVoIPを利用することで、既存の電話線に依存せずにインターネット環境さえあれば、どこからでも音声通話ができるようになります。
VoIPの仕組み
こちらではVoIPの仕組みについて紹介します。VoIPは、通信プロトコルによって音声データを送受信する技術にすぎません。よって、端末(IP電話機、ソフトフォン、VoIPゲートウェイ)、音声サーバー(IP-PBX)、IPネットワークが揃うことで、VoIPを利用したデータ通信が可能になります。
それぞれの役割としては、音声信号をIPパケットへ変換して電話機同士を接続するための信号を制御するのが端末、電話機が発信する電話番号をIPアドレスに変換する機能を兼ね備えているのがサーバー、通話する際の音声品質を保証するために必要なのがIPネットワークです。
具体的な流れは、まず通話の際に電話機から出る音声信号をVoIPゲートウェイという仕組みを使ってデジタル変換し、パケット化します。パケット化とは、送受信する音声データを分割し、それぞれ小さなデータの集合体を作ることです。次に音声データを使用する帯域を小さくするために圧縮し、効率よく送信するために音声データが一定の長さに分けられます。そして、宛先のアドレスをはじめ、転送する際に必要な情報が付加されます。このように音声データをパケット化することで小分けにされたデータをIPパケットと呼びます。
このIPパケットをIPネットワーク上で分割で送信し、通話相手に届く際に再度IPパケットから音声データに復元されることで通話が成り立ちます。
VoIPとIP電話の違い
ここではVoIPとIP電話の違いを紹介します。
IP電話は、電話線の代わりにインターネットプロトコル(IP)を使用してネットワークに接続するハードウェアデバイスで、VoIPシステムによって動作するように設計されています。ソフトウェアやアプリケーションとしてデバイスにインストールすることでVoIPを使用した通話が可能なVoIPソフトフォンと同様に、インターネット経由で電話をかけるために使用されます。
一方のVoIPは、従来の電話回線に代わってインターネット上で音声をはじめ、動画などのデータ通信を可能にする技術です。VoIPは、VoIPプロトコルに対応しているIP電話やソフトフォンなど、さまざまな機器に利用されています。
このように、VoIPは「インターネットを活用した通信における技術」のことで、IP電話は「VoIPを利用した電話システム」を意味します。IP電話はVoIPシステムを活用して使用可能なデバイスのひとつということに過ぎません。
VoIPに必要な構成要素
こちらでは、インターネット上での音声・データ通信を実現するために連携しているVoIPの主な構成要素を紹介します。
- エンドポイント:エンドポイントとは、VoIPを使用した電話の送受信に使用されるデバイスのことです。これにはIP電話をはじめ、ソフトフォン、VoIPプロトコルに対応しているその他のデバイスが含まれます。
- VoIPサーバー:VoIPサーバーは、VoIPシステムにおける中心的な構成要素で通話経路、信号、およびその他の通信機能を管理します。これには、通話の設定、終了、オーディオ、データパケットの転送が含まれることがあります。
- VoIPゲートウェイ:VoIPゲートウェイは、VoIPシステムを従来の電話回線に接続するために使用されます。これのおかげで従来の電話回線との間でVoIP通話が可能になります。
- インターネット接続:VoIPは、エンドポイント間で音声とデータのパケットを送受信するためには、広帯域インターネットやWi-Fi、モバイルデータ接続などの信頼性の高いインターネット接続が必要です。
- コーデック:コーデックは、インターネット上で効率的な送信を可能にするために、音声やデータパケットを圧縮・伸張する際に使用される装置やソフトウェアのこと。コーデックは音声の品質に影響を与えることがあり、VoIPシステムのニーズに応じて様々なコーデックを使用します。
- プロトコル:VoIPは、エンドポイント間の通信を可能にし、通話信号と経路を管理するために、SIP(Session Initiation Protocol)、H.323、RTP(Real Time Transport Protocol)など、さまざまなプロトコルを使用します。
- QoSツール:QoS(Quality of Service)ツールは、ネットワーク上のトラフィックの優先順位付けと管理に使用されます。また、他の種類のトラフィックよりもVoIPパケットを優先することで、通話の品質を維持します。
VoIPのメリット
以下では、VoIPを活用する上でのメリットを紹介します。
- コスト削減:VoIPを使用したIP電話などは、電話回線を使った電話と比べても通話料金が各段に安いです。特に異なる国や、遠く離れた場所に住む人に電話する場合は、従来の電話システムより大幅に安くなります。これはVoIPがインターネットを利用して音声とデータを伝送するためで、従来の電話回線を利用するよりも安い場合が多いです。
- 拡張性:VoIPシステムは、使用するニーズに応じて簡単に拡大・縮小することができます。使用者の状況や変化に合わせて、ユーザーや電話回線、機能の追加や削除を簡単に行なうことができます。
- 柔軟性:VoIPシステムは、インターネットに接続できる環境であれば、どこからでも利用可能なので、遠隔地や出張先でも簡単に業務ができるようになります。また、スマートフォンやノートパソコン、デスクトップパソコンなど、デバイスの互換性にも優れている点も長所といえます。
- 他のツールとの統合:VoIPは電子メール、チャット、ビデオ会議など、さまざまなコミュニケーションツールと簡単に統合でき、総合的なコミュニケーションが実現します。
- 高度な機能:VoIPを活用することで通話録音や通話経路、ボイスメール、自動応答など、より生産性を向上させる、さまざまな高度な機能を使用することができます。
- 高品質の音声:VoIPシステムは、遅延が少なく、パケットロスを最小限に抑えることで、高品質な音声と動画を提供することができるなど、信頼性の高い通信を実現します。
- 国際的な利便性:VoIPは、複数の国で現地の電話番号を保持することができるため、グローバルなビジネスをより簡単かつスムーズに行えるようになります。
- インフラの削減:VoIPシステムは、物理的な電話線の設置が不要なので、従来の電話システムよりも設備が少なくて済みます。結果的にコスト削減と効率化を実現することができます。
このようにVoIPを使用すると、柔軟性や拡張性も持ち合わせているので、場所を問わず柔軟なコミュニケーションが実現できて、遠隔でも共同作業が行えるようになって生産性が向上し、顧客サービスも向上するなど、さまざまなメリットがあります。
VoIPの機能
こちらでは、VoIPを活用したデバイスで使用できる機能について紹介します。
- 着信転送:VoIP電話で着信した電話に応答できない場合に、別の電話番号や機器に転送することが可能です。
- 通話中着信:通話中に着信を通知し、通話を切り替えることが可能です。
- 発信者番号通知:相手の名前と電話番号を表示し、対応する電話の選別や優先順位を決めることができます。
- 留守番電話:電話に出られない時に相手からの音声メッセージを保存し、後で聞けるように音声ファイルを提供します。
- 電話会議:複数の人が同時通話できるので、物理的な距離が離れている人との会議や共同作業が可能になります。
- ビデオ通話:電話する際にビデオを通して同僚やパートナー、クライアントと顔を見ながら通話することができます。
- インスタントメッセージ:リアルタイムでのテキストメッセージや画像、ファイルの送受信が可能になります。
- 存在検知:同僚やパートナーの接続状況を確認することができるので、今誰がコミュニケーション可能かを簡単に把握することができます。
- 通話録音:研修やコンプライアンス目的などで通話を録音して、後で内容を確認したり、参照したりすることができます。
- 自動応答:自動で電話に応答し、発信者がオプションメニューから対応を選択でき、特定の部署へメッセージを転送したりできます。
VoIPのデメリット
以下では、VoIPを活用する上でのデメリットを紹介します。
- インターネット接続に依存する:VoIPがしっかりと動作するためには、信頼性の高いインターネット接続が必要になります。もし、インターネット接続が遅かったり、不安定だったり、途切れてしまうと、通話の品質が下がったり、途切れたりする場合があります。
- 停電があると利用できない:VoIPシステムは電気に依存しているため、停電の場合は動作しない可能性があります。特に緊急時や長時間の停電の際には、問題となるでしょう。
- セキュリティ面でのリスク:VoIPシステムは、ハッキング、ウイルス、マルウェアなどのセキュリティの脅威に弱く、機密データや個人情報が漏えいしたり、危険にさらしてしまう可能性があります。
- 音声品質:VoIPは、通信環境が良い場合は高品質の音声や映像を提供可能ですが、ネットワークが混雑していたり、遅延やその他の要因によっては品質が影響を受けることがあります。そのような影響を受けてしまうと、遅延、エコー、通話障害などの問題が発生する可能性があります。
- 緊急サービス:VoIPシステムは、発信者の位置を特定するために物理的な住所に基づいているので、119番などの緊急サービスに常時接続できるとは限りません。発信者が携帯端末を使用していたり、登録されている住所が間違っていた場合は、救急隊を呼んでも居場所を特定できない可能性があります。
- 互換性の問題:特定の機器やソフトウェアはVoIPシステムと互換性がないことがあります。互換性がないと機能が制限されたり、新たに追加で機器やソフトウェアの購入が必要になる場合があります。
- 技術的な専門知識:VoIPシステムの設定と管理するためには、ある程度の技術的な専門知識が必要です。なので、専門知識がない企業や個人が設定・管理するのは難しい場合があります。
VoIPとVPN
VoIPは、通信分野において革命的な技術で世界中の多くの人の暮らしに影響を与えました。VoIPを活用することで、通話料金を気にすることなく、遠方に住む家族や友人と気軽に連絡が取れます。
ただ、VoIPにはメリットがある一方で、いくつかの問題もあるのも事実です。特にセキュリテイ面での脆弱性は、オンライン上に潜むサイバー犯罪者に狙われやすく、個人情報などが盗まれる可能性があり、被害に遭わないようにするためにもしっかりとセキュリティ対策をしておくべきです。
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