NordVPN調査結果:日本人ユーザーはいまだに無料VPNを信頼していることが判明
NordVPNは毎年、VPNの利用に関する世界規模の調査を実施しています。今回のVPN利用調査の結果では、VPNの認知度は高まっているものの、無料VPNサービスと個人情報を交換することをいとわないユーザーもいまだにいることが示されました。VPNの利用パターンをより深く理解するために、この調査結果を掘り下げてみましょう。
目次
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VPN利用調査について
NordVPNは、ユーザーのVPN利用に対する意識をよりよく理解するため、毎年VPN利用調査を実施しています。2020年にこの調査を開始し、毎年繰り返すことでVPNに関連した質問のパターンを観察しました。これらの質問には、回答者がVPNのことをよく分かって利用しているか、利用しているVPNの種類、VPNを利用する理由などが含まれます。
この数年間で、VPNの認知度と利用率が大きく変化していることが示されました。日本、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアを含む、20か国からの数千人の調査参加者のおかげで、人々がどのようにこの技術を認識し利用しているかをより深く理解することができました。
グローバルな視点から見た無料VPNと有料VPN
今年のVPN利用調査によると、有料VPNのユーザー数は世界的に著しく増加しています。しかし、プライバシーを危険にさらしても、有料で信頼できるVPNより無料サービスを選択するユーザーも依然としているようです。この調査によると、アメリカで40%以上がいまだに無料VPNを利用しているように、日本のVPN利用者の46%が無料のVPNサービスを選択し、プライバシーの問題にさらされていることがわかりました。一方で、カナダのユーザーは29%が無料VPNを利用していました。
イギリスの有料VPNユーザーの数は、昨年の結果と比較して15%増加しており、これは、イギリス人の37%がいまだにデータセキュリティのリスクを冒してまで無料VPNを選択していることを意味しています。一方、オーストラリアは、昨年から無料VPNサービスの利用が増加している国のひとつです。NordVPNの調査で、オーストラリア人の35%が今でも無料VPNサービスと引き換えにデータを提供する意志があることが明らかになりました。
「無料VPNでプライバシーが守られていると考えるのは幻想です。巨大なサーバーネットワークの運用には、何百何千人の従業員と多額の資金が必要なので、他の企業と同様に、VPNプロバイダーも利益をあげなければ事業を継続できません。無料VPNの主な収入源のひとつは、ユーザーの個人情報をブローカーに販売することです。そのデータを広告主が購入し、ユーザーの買い物傾向をより詳しく知ることで、販売キャンペーンをより効果的なものにするのです。したがって、無料VPNはほとんどの場合、プライバシーと全くかけ離れており、セキュリティもたいてい粗末なものです」と、NordVPNの最高技術責任者であるマリユス・ブリエディス氏は述べます。
VPNを利用する理由が徐々に変化
調査によれば、VPNを利用する理由は徐々に変化しています。2022年以降、オンライン上のデータやアクティビティなどのプライバシーを保護するためにVPNを利用する日本人の数は、50%から39%に減少しています。しかし、彼らによると、デバイスやオンラインアカウントを保護するというVPNの重要度は29%から35%に増加しています。
このような変遷が、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアでも見られました。数値は上昇しているものの、データやデバイス保護のためにVPNを利用しているのは、実際のところ、回答者の半数以下にとどまっています。
サイバーセキュリティ意識が低いZ世代
とはいえ、プライバシーにおけるこうした変化は、主に上の世代の視点を反映しているものです。ベビーブーマー世代は前年比で、プライバシーとサイバーセキュリティの両方に対する関心が低い一方、ミレニアル世代の関心は高くなっています。残念なことに、さらに若いZ世代はプライバシーやサイバーセキュリティへの関心が低いことが、数字で示されています。プライバシーやサイバーセキュリティを理由にVPNを利用する日本の若者の数は、彼らの両親や祖父母世代と比較して少ないのです。
「デジタルプライバシーやセキュリティに対する意識は、年齢を重ねるにつれて生まれるものです。デジタルセキュリティに最も関心が高いのは25歳から44歳の日本人で、VPNの使用に関して最も優れた習慣を身につけています。悲しいことに、最もデジタルに積極的であるとされる若年層は、サイバー脅威に最もさらされています。実際のところ、若年層のプライバシースキルはベビーブーマー世代と似ています」と、ブリエディス氏は言います。
日本のVPN認知度は平均以下
日本ではVPN認知度および利用率が平均を下回っており、調査に参加した20か国の中で最も低い国のひとつであることが、本調査により示されています。VPNがどういうものか知っている日本人はわずか24%で、9%がVPNを使っていると答えています。日本の典型的なVPNユーザーは、25歳から54歳の男性で、日々の生活に必要なだけの収入と貯蓄能力のある被雇用者です。
より幅広く見てみると、2023年の調査に参加した全20か国におけるVPN認知度の平均は約64%で、29%近くの回答者がVPNを利用していると答えました。VPN利用者層が最も多く居住しているのは、香港(51%)、シンガポール(43%)、マレーシア(43%)です。アメリカを合わせたこれらの国々では、無料VPNの利用も非常に盛んです。
VPNを利用するべき理由
VPNの主要な目的は、ユーザーのオンライントラフィックを保護しより安全性を高めて、オンライン体験を向上させることです。ユーザーの閲覧活動を隠し、公衆ネットワーク接続時の安全性を確保します。VPNはリモートワーカーにとって非常に重要なツールであり、世界中のどこからでも企業のリソースにプライベートな接続とアクセスを提供します。
VPNは、お使いのインターネットサービスプロバイダー(ISP)によるオンラインアクティビティの記録やトラッキングを防ぎ、ゲームやストリーミングといった特定のアクティビティに対する帯域幅制限を回避するのに役立ちます。また、仮想ロケーションを変更し、旅行先から自宅のコンテンツに安全にアクセスするために VPNが必要な場合もあります。つまり、サイバーセキュリティの要であるVPNは、インターネット利用時に自由を与えてくれる便利なツールでもあるのです。
調査方法
本調査はNordVPNの委託を受け、2023年1月から2023年10月にかけて外部機関により実施されました。20か国で計54,625人の回答者を対象としました。回答者はVPNの認知度および利用状況について質問されました。サンプルが各国のインターネットユーザーを代表するものとなるよう、年齢、性別、居住地についてのクオータ制が設定されました。