本調査について
本調査は、NordVPNが毎年行っている、VPNの利用習慣やその年の傾向を把握し理解する目的で委託される国際的なプロジェクトです。2020年に開始したこの調査は、回答者がVPNとはどういうものか知っているか、VPNを利用しているか、どのように使っているか、といったいくつかの質問から構成されています。
またこの調査は、オンラインプライバシーのリスクがあるにもかかわらず有料サービスではなく無料VPNを選択するといった、VPN利用における問題を明確化するのにも役立っています。
何年にも渡るこの調査により、世界のVPN認知度や利用状況について興味深い事実が明らかになっています。今年の調査は、日本、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどを含む世界18か国で実施されました。各国のサンプルは、年齢、性別、居住地に対してクォータを設けることで、その国を代表するものとなっています。
調査結果が示すもの
全体として、多くの国でVPNの認知度は上がっており、比較的安定した利用が長年続いているという結果が出ています。日本人がどのようにVPNを利用しているのか、日本の調査結果を見てみましょう。
日本でのVPN利用状況
この調査において、日本でのVPNの認知度および利用率は平均をはるかに下回り、調査に参加した18か国中、最低の結果となっています。
2023年でも、VPNとは何かを知っている日本人は4人に1人もおらず(23.0%)、実際に利用している日本人は全体の8%にとどまりました。世界の趨勢に反して、過去3年間のVPN利用率は伸びていません。
日本における典型的なVPNユーザーは、35~54歳の男性です。彼らはY世代(ミレニアル世代)またはX世代(ポスト団塊世代)に属します。一般的に、家電製品を購入したりバカンスを楽しむ十分な資金を持ち、将来のために貯蓄する余裕もあると感じている雇用労働者です。
日本人が利用するVPNの種類
今回の調査では、 セキュリティやプライバシーに関するリスクをもたらす可能性のあるVPNの利用習慣 が明らかになりました。VPNを利用する日本人の半数近く(46.3%)が、信頼性がより低いとされる無料サービスを選んでいたのです。
無料VPNは月額料金や年会費がかからず、魅力的な選択肢に思われます。しかし、無料サービスであっても収益は生み出さないとならないため、ユーザーデータのトラッキングや第三者への販売、大量の広告表示、有料版への積極的な誘導などがしばしば行われます。
さらに、無料VPNはサブスクリプションによる収入が無いため、安定したサーバーインフラや最も強力な暗号化機能への投資ができないこともあります。その結果、無料VPNは、ユーザーがしばしば気づかないデジタルプライバシーおよびセキュリティのリスクをもたらす可能性があります。
少なくとも、日本のVPNユーザーの3分の1(31.3%)は、一般的により安全性や信頼性が高いとされている有料VPNを利用しています。また、17.5%が企業向けVPNを利用しているという調査結果も示されました。
オンラインでの安全性確保のためVPNを利用する日本人の割合
VPNを利用する理由をたずねたところ、国によって興味深い回答の違いが示されました。
日本では、VPNユーザーの約5人に2人(37.5%)がオンラインでのプライバシー保護のためと答えました。また、ほぼ同数(38.8%)のユーザーが、デバイスとオンラインアカウントの安全性を保つためにVPN接続を利用しています。このデータから、日本のVPNユーザーは、セキュリティ面およびプライバシー保護の観点でのVPN利用のメリットを概して理解していると考えられます。
VPNはオンラインでのプライバシー保護向上のために設計されたサイバーセキュリティツールであることにご留意ください。日本以外の17か国では、VPN認知度が55%、VPN使用率が21%を下回る国はありませんでした。日本は国レベルの課題としてVPN認知度を上げていく必要があります。
各国現状の概要
今回の調査では、国や性別、年齢層によって興味深い違いがあることが分かりました。
VPNの認知度は国ごとに異なり、 平均以上 だったのがアメリカ、カナダ、イギリス、香港、ポーランド、シンガポール、スペイン、台湾、ブラジルでした。
一方、フランス、イタリア、日本、韓国などのいくつかの国で VPNの認知度は平均を下回っています 。
今年(2023年)の調査結果を見ると、 VPNの認知度・利用率が最も低かった のは日本です。VPNを知っているという日本の回答者は23%で、VPN利用率は8%にとどまりまっています。
2023年に 認知度および利用率ともに最も高かった 地域は香港で、87.2%がVPNを認知し、人口の半数以上(50.2%)がVPNを利用しています。
Z世代 は、より信頼性の高い有料サービスよりも無料VPNを選ぶ可能性が最も高い年齢層です。アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、シンガポール、韓国、ドイツ、スペインでこの傾向が顕著でした。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスを含む多くの国で、 Y世代 がより高いVPN利用傾向を示し、オンラインでの自己防衛のために有料VPNを選ぶことがほとんどでした。
また、同じグループでも、国によってVPNの利用状況に違いが出ています。
- イギリス では、18~24歳、Z世代、低所得者、学生が、その他の市場よりもVPNを利用する頻度が高くなっています。
- ドイツ では、他の国よりも学生のVPN利用頻度が高くなっています。
- 香港 では、他の市場と比べて、団塊世代やビジネスオーナーのVPN利用度合いが高くなっています。
- イタリア では、25~44歳、女性、Y世代、およびX世代が、その他の市場よりもVPNをよく利用しています。
- オランダ では、25~34歳、Z世代、および学生が、その他の市場の同分類グループよりもVPNをよく利用しています。
- シンガポール では、女性、18~34歳、Z世代・Y世代、中・低所得者層で違いが見られます。シンガポールのこれらのグループは他の国よりもVPNの利用頻度が高くなっています。
- スウェーデン では、45~64歳の人と低所得者が、他国よりもVPNをよく利用しています。
- 台湾 では、他国よりも、男性のVPN利用頻度が高い傾向にあります。
各国に関するより詳細な考察は、 こちらのVPN利用調査報告書 をご覧ください。
VPNを利用するべき理由
今回の調査では、多くの国の人々が、VPNの利用によりデジタルライフがより安全になると理解していることが分かりました。もしまだオンライン保護のためにVPNを利用していないなら、信頼できるVPNサービスの導入を検討しましょう。VPNのユースケースの詳細については、 VPNの使い方 について紹介する記事を参考にしてみてください。
方法論
本調査はNordVPNの委託を受け、2020年8月から2023年3月にかけて外部機関により実施されました。18か国で計151,400人の回答者が調査対象となりました。回答者はVPNの認知度および利用状況について質問されました。サンプルが各国のインターネットユーザーを代表するものとなるよう、年齢、性別、居住地についての割合が設定されました。
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