検索エンジンとAIツール 全世界の2年間の利用動向と進化の実態
さっそく、アメリカのSEO企業であるOnelittleWebが実施した検索エンジンとAIチャットボットのウェブトラフィックの分析結果を見ていきましょう。
当調査では2023年4月から2025年3月までの2年間、全世界における上位10社の検索エンジンとAIチャットボットのトラフィックデータに基づき、それぞれのウェブアクセス数を比較しました。
上位検索エンジンとAIツールの年間訪問数の推移
まずは、検索エンジンとAIツールの全世界の年間総アクセス数を前年と比較してみます。2024年4月から2025年3月までの間、検索エンジンとAIチャットボットの総アクセス数は以下の結果となりました。AIチャットボットは前年と比較すると+80.92%と、大幅に増加しました。しかしながら、AIチャットボットの総アクセス数は検索エンジンの総アクセス数の約33分の1に満たないことから、検索エンジンには今なお、高いニーズがあることが伺えます。
月間・日次 利用規模
次に、検索エンジンとAIツールの全世界の月間・日間の利用規模を比較していきましょう。
| | AIチャットボット | 検索エンジン |
|---|---|---|
| 2025年3月 月間平均訪問数 | 46億回 | 155.25億回 |
| | AIチャットボット | 検索エンジン |
|---|---|---|
| 2025年3月 日次平均訪問数 | 2億3,310万回 | 55億回 |
月間および日次の平均訪問数では、AIチャットボットと検索エンジンで大きな差があります。月間平均では、検索エンジンの訪問数はAIチャットボットの約3倍以上、日次平均では検索エンジンの訪問数は55億回、AIチャットボットは2億3,310万回と23倍以上の差がありました。検索エンジンは情報検索や意思決定ツールの一つとして、未だ欠かせないインフラであることを数字から読み取ることができます。
GoogleとChatGPTの現状を比較
続いて、世界で検索エンジンの市場シェアトップを誇るGoogleと対話型の生成AIチャットツールのChatGPTに注目してみましょう。現状のそれぞれの利用実態を深堀りしていきます。
(調査対象期間:2024年4月~2025年3月月間平均訪問数は年間総訪問数を12で割って算出。日次平均訪問数は2025年3月の総訪問数を30日で割って算出)
日次、月間、年間いずれの訪問数においても、Googleの訪問数はChatGPTに大きく差をつける結果となりました。Googleの各訪問数はChatGPTの約25倍から約34倍に上ります。
ChatGPTは生成AIの先駆者とも言える存在ですが、情報の信頼性や網羅性などの面ではGoogleの優位性が高く、新たな検索ツールとしては限定的な立ち位置に留まっていると言えるでしょう。
AIツールと検索エンジンの現状と今後の発展
これまでの調査結果を見てみると、依然として検索エンジンの需要が高いことが分かりました。一方で、AIツールの飛躍的な発展は大きな注目を集めています。ここでは、AIツールと検索エンジンそれぞれの現状と今後の見通しを見ていきましょう。
AIツールの成長過程
AIツールは2022年11月、米OpenAI ©社によるChatGPTリリースを機に爆発的に普及しました。その後、Microsoft社のCopilot(コパイロット)やGoogleのGemini(ジェミニ)など競合となるAIツールが続々と登場しています。2024年4月から2025年3月までの月間訪問数の推移を見ていきましょう。
AIツールは2024年4月の月間31億訪問から、2025年3月には70億訪問まで倍以上に急増しました。特に、以下の表のとおり、2024年9月以降の月間訪問数は急激な成長を見せており、2025年3月には70億に達しています。ChatGPTをはじめとするツールの検索バーへの統合やモバイルアプリ展開、精度向上が成長の主因と言えるでしょう。AIツールは、もはや新奇な技術としてではなく、日常的な情報検索ツールとして定着が進んでおり、今後さらに利用者は増加していくことが予測されます。
| 月 | 月間訪問数 |
|---|---|
| 2024年4月 | 31億 |
| 2024年5月 | 31億 |
| 2024年6月 | 33億 |
| 2024年7月 | 34億 |
| 2024年8月 | 35億 |
| 2024年9月 | 41億 |
| 2024年10月 | 50億 |
| 2024年11月 | 53億 |
| 2024年12月 | 54億 |
| 2025年1月 | 54億 |
| 2025年2月 | 66億 |
| 2025年3月 | 70億 |
検索エンジンの回復と進化
AIツールの月間訪問数が右肩上がりで増加する一方で、検索エンジンの利用状況は増減を繰り返しています。検索エンジンは2024年6月に月間訪問数が1,471億まで減少したものの、その後12月以降に1,596億から1,637億まで着実な回復を見せました。
| 月 | 月間訪問数 |
|---|---|
| 2024年4月 | 1,550億 |
| 2024年5月 | 1,492億 |
| 2024年6月 | 1,471億 |
| 2024年7月 | 1,493億 |
| 2024年8月 | 1,498億 |
| 2024年9月 | 1,503億 |
| 2024年10月 | 1,620億 |
| 2024年11月 | 1,552億 |
| 2024年12月 | 1,596億 |
| 2025年1月 | 1,604億 |
| 2025年2月 | 1,613億 |
| 2025年3月 | 1,637億 |
この回復の要因は、GoogleやMicrosoft Bingによる従来の検索エンジンにAI技術を融合した新たな取り組みにあります。検索エンジンとAIツール、双方向からのアプローチによって、より多くの情報により早くたどり着けるようになり、進化したユーザー体験を提供できるようになりました。
検索エンジンは一時的に訪問数の減少があったものの、単なる「衰退」ではなく、「AIと融合した検索」として、情報検索そのものを新たに再定義していると言えるでしょう。
検索エンジンとAIチャットボットの使い分け
実際に、人々は検索エンジンとAIチャットボットをどのように使い分けているのでしょうか。ここでは、ソルナ株式会社が2025年1月に実施した検索エンジンと生成AIの使い分けに関する実態調査を基に解説していきます。
スピード重視や作業効率化ではAIが優勢
最も多かったのは、「気軽な質問」で、51.4%の人がこの用途に活用していると回答しました。次いで、「情報の整理・要約」(47.7%)や「文章の作成・校正」(48.6%)といった、時間を要する作業にはAIチャットボットを活用して業務効率化やアウトプット支援に役立てていることが分かりました。
信頼性と情報源の明示が必要な場合は検索エンジン
一方、検索エンジンは同位(57.8%)で「公式情報重視」や「具体的なWebサイト閲覧」がランクインしました。情報の精度と信頼性が重視される場面で検索エンジンが活用されていることが多いようです。
そのほか、「価格・料金比較」(42.2%)、「店舗・サービスの利用前」(52.3%)、「商品購入時」(49.5%)などの場面で、検索エンジンの強みである広範囲の情報の探索や最新情報の取得、公式情報や信頼性の高い情報源の特定に役立てられているようです。
目的別で使い分けるユーザーが主流に
「今後、検索エンジンと生成AIをどのように使い分けていきたいと考えていますか。」という問いに対しては、「目的に応じて使い分ける」(56.4%)が最多でした。情報収集ツールとして、AIチャットボットは膨大な情報をスピーディーに要約でき、文章の生成・添削などにも長けています。一方で検索エンジンは情報の広さや鮮度、信頼性が支持されています。約6割の人が両者を組み合わせて使い分けていきたいと答えており、それぞれのツールの特性を踏まえた利用が目的や得たい情報に応じて定着してきています。
AIツールを使用して検索するメリット3選
ここからは、AIツールと検索エンジン、それぞれの特性を見ていきましょう。AIツールには、検索エンジンでは得られない優れたメリットがあります。
1. 複数の情報源をまとめて確認できる
検索エンジンのデメリットとして、一つの問いに対して一つの検索結果しか得られず、情報が分散しがちな点が挙げられます。その点、AIツールなら、複数の情報源から横断的に情報を収集し、簡潔にまとめてくれるのです。また、その回答の情報源もリスト化されるため、情報の信頼性も確認しやすくなります。
2. パーソナライズされた回答が得られる
AIツールでは、ユーザーの嗜好を踏まえたパーソナライズ機能を利用することにより、カスタマイズされた情報を得ることができます。あらかじめ設定画面で自分の好みや情報を設定したり、チャット履歴から学習させておいたりすることで、AIツールがその設定に基づいた情報を提供してくれるのです。
例えば、AIツールに自分がベジタリアンであることを記憶させておけば、「東京でおすすめのイタリアンレストランを教えて」と質問した場合、「ベジタリアン向けのオプションがあるかどうか、さらに調べてみましょうか?」と回答してくれます。パーソナライズ機能を活用すれば、わざわざ細かく情報を指定せずとも望む検索結果に反映してくれるので、さらにスピーディーに的を絞った回答を得ることができるのです。
3.あいまいな質問でも意図をくみ取ってもらえる
検索エンジンでは、漠然としたキーワードでは求めている情報が得られないことがあります。しかしAIツールでは、あいまいな質問でも、大規模な学習データや自然言語処理(NLP)技術により、言語のパターンを認識し、次にどのような単語やフレーズが来る可能性が高いかを予測することが可能です。
これにより、たとえ誤字があったり、不完全な質問をしたりしても、AIツールは文脈を読み取り、ユーザーの意図をくみ取った適切な回答を提供します。
検索エンジンを使用して検索するメリット3選
AIツールは情報の要約や生成に優れていますが、従来の検索エンジンは多様な情報源に直接アクセスできたり、アップデートされた最新情報や一次情報が得られたりするため、情報の透明性や信頼性に強みがあります。
1.ニュースや最新情報をすばやく取得できる
検索エンジンは、特にニュースなどリアルタイムの情報を得たい場合に優れていると言えます。AIツールは、学習データの最終更新日までの情報しか持っていない場合があり、特に最新情報には対応していないことがあり得るのです。検索エンジンは、ニュース記事やアップデートされた情報を迅速に反映できるため、正確性が求められる検索に適しています。
2.行きたい場所やお店をすぐに探せる
Googleマップなどの位置情報サービスは検索エンジンに紐づいています。そのため、ルート検索をした場合、周辺情報や現在地からの距離、経路などを一目で把握することが可能です。
また、従来から「地図検索ならGoogleマップ」という習慣が人々の間で根付いています。AIツールは対話形式であり、文章能力に優れていますが、店舗検索をしたい場合や位置情報を得たい場合には、直感的なインターフェースを提供する検索エンジンの方が使い勝手が良いと言えるでしょう。
3.信頼できる公式情報に直接アクセスできる
検索エンジンは、正確な公式情報を得たい場合に最適と言えます。特に、目まぐるしく変わる政府の情報や、常に進化し続ける医療情報や学術資料などは一次情報から情報を得ることが重要です。
AIツールは情報を要約して提供するため、情報源が不透明であったり、偏った情報が提示されたりするリスクがあります。検索エンジンには、速報性や正確性のある情報を得たい場合に優位性があると言えるでしょう。
AIと検索は対立ではなく融合する時代へ
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)の専門家は、AIツールが完全に検索エンジンに取って代わられるとは考えていません。GoogleやMicrosoft Bingがすでに導入しているように、検索エンジンと融合したAIツールの開発も進められています。
両者の利用動向の調査から、AIツールと検索エンジンのそれぞれの強みを活かした使い分けや、共存していく未来が読み取れました。
まとめ
従来の検索エンジンはAIツールの登場によりさらに進化し、ユーザーはハイブリッドな活用ができるようになりました。検索エンジンとAIツールは対立する存在ではなく、今後それぞれの特性を活かして共存し、さらに発展していくでしょう。
AIツールや検索エンジンは世界中のあらゆる情報にアクセスできる素晴らしいツールですが、通信内容が暗号化されていないと、公共のWi-Fiなどを利用する際に第三者にデータを盗み見られるリスクがあります。また、悪意あるサイトへのアクセスやサイバー攻撃のリスクも存在します。そこで頼りになるのが、VPNです。
たとえば、NordVPNが提供する脅威対策Pro™は、サイバー脅威インテリジェンスと機械学習を活用した高度なセキュリティ機能を備えており、オンライン上のプライバシーを守りながら、ウイルスやマルウェアなどの脅威からも利用者をしっかりと保護します。
インターネット検索においては、プライバシー保護が最優先です。VPNを活用して、安全を整えた上でAIツールや検索エンジンを最大限に活用していきましょう。
ワンクリックでオンラインセキュリティ対策を。
世界をリードするVPNで安全を確保